対馬市と沖縄県竹富町は7月4日、友好都市10周年記念シンポジウム「島々の未来共創」を対馬市交流センター(対馬市厳原町)で開催した。
野生のヤマネコが暮らす独自の自然文化を持つ両市。自然と人が共生する「これからの島づくり」を考えるため、対馬市の比田勝尚喜市長や竹富町の前泊正人町長、学識経験者、環境団体関係者らが出席。会場とオンライン合わせて約130人が参加した。
両市は、環境保全や伝統文化の継承、人材育成を謳った「島々の未来共創宣言」を確認。対馬市議会の春田新一議長は「先人から引き継いだ島の宝を次世代へ継承し、今後も両島の相互理解と交流を深めていきたい」とあいさつで述べた。
基調講演では、国立環境研究所特命研究院の五箇公一さんと、対馬市出身でつくば市ジオパーク室専門員の杉原薫さんが登壇。
五箇さんは、地球規模での生物多様性の危機と保全をテーマに講演。家庭の生活排水が海や川の汚染原因の70%を占めることや、廃プラスチックが生物に与える影響について説明。日本が古くから守ってきた「山・里山・海」の自然循環型の生活についても触れ、こうしたシステムを守ることが生態系の保全につながると訴えた。
杉原さんは、野鳥や野生ランなどの生き物に魅了された対馬での幼少期を振り返りながら、専門であるサンゴ礁と対馬海域の生態系や、約1200キロ離れた両市が暖流(黒潮・対馬海流)でつながっていることを説明。実際に対馬の海に潜って気になった点として、廃棄された漁具がサンゴを傷付けている現状を挙げた。
第1部のパネルディスカッション「島民が繋(つな)ぐ自然と文化」には、一般社団法人「イルンティ・フタデムラ」代表理事の長澤孝道さんと、佐護ヤマネコ稲作研究会事務局長の吉野元さんがパネリストとして登壇。
西表島・千立集落の耕作放棄地を開墾する「田んぼ再生プロジェクト」の取り組みでイリオモテヤマネコを含む生態系が回復していることや、対馬の自然文化を次世代に継承するための経済対策「ヤマネコノミクス」を紹介した。
第2部のパネルディスカッション「島民が繋ぐ青い海」には、世界遺産に登録された西表島の自然文化の保持に取り組む西表財団の河合正憲理事長と、環境保全活動に取り組む対馬CAPPAの末永通尚さんが登壇。
西表島と対馬に共通する課題である漂着ゴミを取り上げ、マングローブ林では回収が困難で放置されてしまうことや、若い世代を巻き込んだ清掃活動などの取り組みを紹介した。